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蟹江教授について

オルトゴナルって何?

Orthogonal(オルトゴナルあるいはオルソゴナル)という言葉がある。もちろん日本語ではないので耳慣れない。日本語として定着していることとしては、正投影図(Orthogonal projection)がある。分かり難い概念を示す言葉であるので、まずここから説明することにしよう。


正投影図 とは3次元の物体を2次元で表現する方法の一つである。書き表そうとする物体を任意に設定した90度の角度(x軸、y軸、z軸)から見渡すように投影し3つの透かし絵(投影図)を作製する。各々の投影図は物体の一部を示す正確を有している。このように直交する表現をオルトゴナルな表現と言い、このようにして得られる各々の物体の側面どうしの関係をオルトゴナルな関係であると言う。


あまり触れられることは無いが、オルトゴナルな関係はどこにでもある。実際には概念をしめす用語なので投影図のように物体そのものを指し示す必要はない。既に書いたように馬跳びにもオルトゴナルな関係を見出すことができる。ここでは、こどもがおこなう遊びの要素となる飛ぶ、屈むという2つの動作が「直交」な関係である事をさす。この直交は投影法における具体的な直交の関係とは異なり、概念的に直交なのである。この「概念的に直交であること」というのが我々日本人の考え方にはないので分かり難いのである。これは、要素となる事柄が、馬跳びの場合には要素動作のみを見てみると各々が「無関係」であることを示している。


それでは関係の無い事を二つ組み合わせればそれでオルトゴナルであるかと言えばそうではない。重要なことは、ある「系」の構成要素でありながら「直交」の関係にあることである。だから、馬跳びの系内で一見無関係な2つの要素動作をする2名以上の子供が交互に要素動作を繰り返すと馬跳びと言う各々の要素からは想像もできなかった遊びが生まれることになる。先の投影図においても同様で、各々の投影図は元々の物体のある側面を表現している意味において無関係ではない。


このように考えるとこの概念は重要であり、かつ普遍的であることがわかる。例えば陰陽説によれば宇宙は混沌に生まれた相反する要素が関係し合う事で複雑になった。これは、オルトゴナルな因子がある系を構成している事に他ならない。三権分立はどうだろうか。各々の機能が一見独立していて、これによって権力による権利の侵害を防ぐことができるが、そもそもこれら個別の機能は全く独立しているのではなく、国家とその運営のために機能することを前提としている。民主主義の根幹はオルトゴナルな関係の上に成り立っているということもできる。