mass spectrometry

簡単な説明

 

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イントロダクション



質量分析法


 質量分析法は分子を何らかの方法でイオンとし、これを「真空」の、電極に挟まれた場に投じ、電極間での挙動を調べようとする方法です。

 装置は大きくわけて、1)イオン化部と、2)質量分析部からなっています。それぞれがいろいろな方法が存在するため、それらの適当な組合わせにより装置構成が決まっています。

 私たちは、主にESI(エレクトロスプレーイオン化)-QIT(四重極イオントラップ型)質量分析装置を用いています。どのような手法を用いるかは、分析対象が何であるか、何について知りたいのかなどにより決定します。



エレクトロスプレーイオン化法


 ESI法は次のように三段階に分けて考えることができます。1)電場に解析したい分子を含む溶液を霧吹きする、2)徐々に減圧雰囲気に吸い込まれ帯電した微液滴から溶媒が蒸発する、3)レイリー限界により更に微液滴化するとともに、溶液中に存在するプロトンやナトリウムなどのイオン成分が溶質に配位したイオンが生じることになります。

 解析対象物質の溶液を導入することができますので、前段にHPLCなどの分離部を接続することができます。特に、最近は、微量物質の分離ー構造解析をおこなうために、チャピラリーカラムを用いるHPLCやキャピラリー電気泳動法を用いることもしばしばです。



四重極イオントラップ型質量分析


 二対の電極間に高周波印加します。まず、2次元で考えてみましょう。対電極の場合のことを考えると放物面状の電場の局が高速で反転しますのであたかもチョウチョが羽ばたいているよう電場を作ります。


 例えば陽電荷を持つイオンをここに入れたとすると、正の電場のと
きには中心に追いやられ、負の電場の場合には両端に引きつけられることになります。この正負が高速で反転しますからイオンは中心付近で共鳴振動することになります。しかし、対の電極では無限遠方に電場が広がっていますのでイオンは直線上に拡散してしまいます。そこで電極を二対とします。そうすると先ほどのチョウチョ
が直行する軸上で羽ばたくことになります。ちょっと想像しにくいかもしれませんが、乗馬のサドル状の電場が形成されます。イオンの拡散につながる直線方向に蓋をしたようなことです。振動するイオンは、出口を閉ざされて2次元面上では中心付近に閉じ込められたわけですが、鉛直方向には自由に動くことができます。ここからが3次元の話になります。

 四重極型質量分析法は、残りの軸方向に大きな印加をしています。先ほどの面内に共鳴振動するイオンは、この印加により引力、斥力に従って直線上を移動(飛行)することになります。移動するイオンの電荷が等しい時、イオンの質量によって共鳴の仕方に差があります。同じ事柄をいろいろな言葉で云うとすれば、振動数、角速度、あるいは、加速度が異なります。これが大きな印加に対して直行方向からのアフィニティーとなりふるい分けられていきます。これが基本的な四重極型質量分析法です。

 イオントラップ
型というのは三次元局面をもつ電極を使いますが、断面が四重極型の質量分析装置と同じになります。最初の対電極をドーナツ型に閉じるとリング電極となります。これについて上下に球の電極を配すると完成です。(断面に四重極が見えていますね)電極数としては4つではなく3つです。先の四重極型の質量分析装置の対電極が三次元にまとまっているため、イオンについて開口部が無く、イオンが閉じ込められた状態となります。このため電極間にヘリウム等の中性安定分子を流すことで共鳴振動するイオンと衝突させることができます。このとき、高周波印加の電圧を上げるとより大きな運動エネルギーを与えることができ、衝突によりイオンの分解(開裂)を起こすことができます。