Orthogonal glycosylation

 

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サイトの再構成をしました。 オルトゴナル縮合反応のページはGlycoaware.com内に移動しましたので、ブックマークの付け替えをよろしくお願いします。



Chapter 1 日本語版

オルトゴナル縮合反応系とは? 
http://www.glycoaware.com/RIKEN_Kanie_SRP/Orthogonal_coupling.html
English



“オルトゴナルであること”とは、各々の構成要素あるいは可能性の組み合わせが、それらが帰属するすべての可能性領域を結び付けている現象を数学的に表わす言葉であり、ベクトルを座標で表わす場合によく用いられる。一般に、重なりがない、あるいは相互にに独立している様、直交を表わす。  


 例えば、この考えに基づいて“ウマ跳び”を解析してみよう。うま跳びという可能性領域において“跳ぶ”“屈む”という2つの動作が可能性として関与している。これらの2つの独立した動作はウマ跳びという遊びを構成しており、それゆえオルトゴナルである。この唯2つの構成要素を持った子供はウマ跳びというシステムを構成すると同時に遊びとして成立させている。この概念は、ある過程の連続性を基礎にする系において重要であると考えられる。さらに、ウマ跳びを構成する子供の最小人数は2人であるが、多くの子供の参加も可能である。


 化学の領域においては、オルトゴナルな系とは“各々が他のすべての保護基の存在下如何なる順序でも脱保護の可能な化学的に独立した保護基の組み合わせ”であるとBaranayとMerrifieldによって定義づけられた。[1] この概念に基づいたオルトゴナル保護法はペプチド化学の領域にとどまることなく様々な分野に見い出すことができる。


 この概念はポリマー性の化合物の合成の際しばしば用いられるが、縮合反応自体を指しておらず、保護基の操作に関する概念にとどまっている。このような系においては縮合反応前に脱保護を行わなくてはならない。反応行程数を極限まで減らすためには、上述の“ウマ跳び”のシステムが縮合反応系について必要とされる。すなわち各々のシントンはオルトゴナルな性質を有する官能基、すなわち、“ある縮合条件下において不活性であり、他の条件下で活性である性質”を備えていなければならない。これら素反応のみを繰り返すことでオルトゴナルな縮合反応系が成立する。[2~5]


 具体的には、次の条件;

官能基Xは条件Aで活性化されるが条件B下安定である。また、

官能基Yは条件Bで活性化されるが条件A下安定である。;

が成り立ち、個々のシントン(Si)がX、あるいは、Yを有し、また、反応に関与する官能基(例えば水酸基)を有する時、

(S1)-XとHO-(S2)-Yを条件A下で反応させると(S1)-O-(S2)-Yを与える。続いて(S1)-O-(S2)-YとHO-(S3)-Xを条件B下反応させると(S1)-O-(S2)-O-(S3)-Xが得られる。これを繰り返すとオリゴマーが合成される。


文献

  1. 1.Baranay, G.; Merrifield, R. B., J. Am. Chem. Soc., 1977, 116, 7363-7365.

  2. 2.Kanie, O.; Ito, Y.; Ogawa, T. J. Am. Chem. Soc., 1994, 116, 12073-12074.

  3. 3.Zeng, F.; Zimmerman, S. C. J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 5326-5327.

  4. 4.Kanie, O.; Ito, Y.; Ogawa, T. Tetrahedron Lett., 1996, 37, 4551-4554.

  5. 5.Ito, Y., Kanie, O., and Ogawa, T. Angew. Chem. Int. Ed., 1996, 35, 2510-2512.



挿絵 "The Golden Picture Dictionary" York, Western Publishing Company, Inc., Racine, Wisconsin 53404 より引用

 
Synthesis.html
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