人工疑似糖タンパク質でウイルス感染阻害

 私たちはタンパク質の立体構造について学びましたが、そのような構造を全く人工的に作り出せるだろうか?特に環境に反応して形を変える疑似糖タンパク質が 出来るだろうか?そんな興味からインフルエンザウイルスのヘマグルチニンとシアリダーゼの両タンパク質を阻害するポリマー化合物を合成しました(Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1524)。この糖脂質結合ポリマーはそれだけでは数分子の塊を形成して水に溶けていますが、ウイルスと出会うと糖鎖がタンパク質と相互作用するのをきっかけにウイルスにまとわりつき非常に強い阻害活性を発揮します。さらにこのようなポリマー化合物がタミフルやリレンザといったウイルスシアリダーゼ阻害剤と協調的に働きより強いウイルス感染阻害機能を発揮することを発見しました(J. Antimicrob. Chemother. 2015, 70, 2797)。

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